2002年に初めて行われた文部科学省の調査を皮切りに、今では発達障害という言葉は聞き馴染みのある言葉となっているかと思います。
私は保育園、運動療育通所支援、SST療育通所支援の経験のなかでたくさんの子どもたちの支援をしてきました。
注意欠陥多動性障害ってこういう特徴があるんだ…
そこでこの記事では、初心者の方でもわかる「注意欠陥多動性障害」についてまとめて解説していきます。
この記事を読めば注意欠陥多動性障害という障害特徴の理解がグッと深まります。
注意欠陥多動性障害とは不注意と多動性・衝動性が見られる発達障害のこと
不注意優勢型
不注意の特徴が強く、多動性・衝動性の特徴が強くない
・例「物にぶつかりやすい」「なくしものや忘れ物をしやすい」
多動性・衝動性優勢型
多動性・衝動性の特徴が強く、不注意の特徴が強くない
・例「落ち着かない」「感情のコントロールができない」「何をするか予測できない」
混合型
不注と多動性・衝動性の両方の特徴が強い
・不注意と多動性・衝動性ふたつの特徴を満たしている
注意欠陥多動性障害の症状は12歳までにわかる
診断が下される平均年齢は男子8歳、女子12歳
性別によっても症状が出る年齢が違うと言われており、診断が下される平均年齢は男子は8歳、女子は12歳と言われています。
注意欠陥多動性障害の何らかの症状は生後すぐに症状がわからないため確認できず、2歳ごろから少しずつ症状が顕著に見られ、12歳までに見られることが多いです。
親目線からだと判断しにくい
症状について両親が気がつくこともあれば、保育園や幼稚園など関係機関の職員から日頃の様子を考慮して受診を勧められることもあります。
両親目線からは比較対象が少ないために発見されにくい反面、比較対象が多い傾向にある関係機関の職員が気がつくことは少なくありません。
もし、日頃の行動で気になることがあったり、関係機関の職員から気になることがあったら耳を傾けてみることをオススメします。
親の関わりが原因で注意欠陥多動性障害になるということはない
注意欠陥多動性障害は先天性の脳障害
注意欠陥多動性障害は先天性の脳障害と言われています。そのことから親の育て方が悪いから、躾がなってないからADHDになるということはないということになります。
しかし、親の関わり方を含む周囲の環境要因によって症状が好転することもあれば悪化することもあります。
そのため、その子に合った関わり方を行う必要があります。
注意欠陥多動性障害のあるこどもに見られる行動一覧
不注意
・身の回りの片付けが苦手
・忘れ物をしやすい
・なくしものをが多い
・物にぶつかりやすい
・提出期限が守れない
多動性
・席に座っていられない
・座っている時間に手足が動かしている
・発言が止まらない
・言葉のキャッチボールができず、常に発言してしまう
・周りの環境にきをとられやすい
衝動性
・思いついたままに行動するため持続力がない
・急に走ったり、大声をあげる
・他者との関わりの中で手がでてしまいがち
・後先考えず行動する
・感情をコントロールすることが難しい
注意欠陥多動性障害には療育方法は主に3種類ある
行動療法
行動療法は望ましい行動を強化し、不適切な行動を減少させることを目指すものです。
SST(ソーシャルスキルトレーニング)など活用し、一つ一つの場面に対して望ましい行動の練習をすることで成功体験を積み上げ、自己肯定感を高めながら自信に繋げていくことができます。
カウンセリング
苦手なことやミスや衝動の起きやすい状況を確認しながら、日常生活で取り組める行動を段階的に変えていくことを目指すものです。
カウンセラーの方と自分の特徴を再確認し、その時に望ましい行動をあらいだして整理することで対応策を考えていくことができます。
薬物療法
症状の軽減や緩和を目的とした薬を服薬することで症状を和らげることができます。
・コンサータ
(一般名:メチルフェニデート)
・ストラテラ
(一般名:アトモキセチン)
・インチュニブ
(一般名:グアンファシン)
・ビバンセ
(一般名:リスデキサンフェタミンメシル酸塩)
などの薬があります。
専門医に相談の上、服薬することになります。
注意欠陥多動性障害の子どもとの接し方について
できることや得意なことを見つける
自分の好きなことに対して集中力を発揮する子どもたちはたくさんいます。
その強みを見つけて伸ばしていくことが本人の自信につながります。また、一緒に見つけることで本人にとって安心できる場所/h3を作ることができます。
事前に具体的な指示を出す
「机の上を整理整頓しなさい」「今は静かに座って」などの言葉は具体的な指示ではないため「どのように気をつけて良いのか」が明確ではありません。
衝動性の特徴も相まってなかなか行動のコントロールができないことがあります。その時には具体的に指示を出すことをオススメします。
例1
「机の上を整理整頓しなさい」
①筆記用具は引き出しにしまってね
②教科書は机の上の右の棚に全部並べてね
③漫画はこっちの本棚に入れてね
例2
「今は静かに座って」
①足を動かして音をださないでね
②お話はしないようにね
③体を揺らして椅子を揺らさないようにね
などが挙げられます。
「何を」「どんなときに」「どのように」「なぜ」を意識してみると伝えやすいのでオススメです。
このとき、言葉だけでの指示ではなく視覚を使った指示が効果的。
一度望ましい行動を自らして見せて、子どもに見てもらうようにしてみましょう。
叱る時は静かな場所で
周りがうるさかったりいろんなものが置いてある部屋だと集中しにくい環境といえます。
そんな環境では大人でも集中しにくいものです。当然子どもも然り。
叱る時や伝えたいことがあったときにはできるだけ静かな場所を選んでください。集中が途切れにくい環境を意識することが大切です。
心配になったら近くの小児科や心療内科へ
どこに受診すればいい?
「ちょっとこの行動は心配だな…」「先生からの引き継ぎの中で気になる行動がある…」と思ったときは近くの児童精神科や心療内科へ受診しましょう。児童精神科の予約が取り難い場合にはかかりつけの小児科で相談することもできます。
また、発達障害者支援センターなどの支援機関に相談することもできます。
早期発見、早期療育
療育も早期発見、早期療育。ここでのポイントは気になったら行くことです。
療育支援を受けることで子どもの生活のしやすさは格段に変わります。早期に療育をすることで症状が落ち着く時期が早くなるケースは少なくありません。
本人のことも考慮して早めの受診を意識してください。
通所支援に通うファーストステップはこれ!受給者証の申請。
通所支援事業所に通うには行政に受給者証の申請をしなくてはなりません。
【給者証の申請方法と記載内容はこれ!】の中に申請方法を一つにまとめました
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まとめ
以上が注意欠陥多動性障害の特徴になります。今回は行動例や治療方法、接し方についてまとめました。
「注意欠陥多動性障害ってこんな感じなんだね」「行動がわかった」など気づきを提案できたなら幸いです。
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