「ASDのタイプって何?」
「うちの子はどれに当てはまる?」
そんな疑問にお応えするためにこの記事では日本の療育現場で使われてきた従来型の4分類と、近年の研究に基づく新しいサブタイプ分類を比較しながらご紹介します。
子どもの特性を理解し、適切な支援に役立てるためのヒントを得ていただければ幸いです。
この記事でわかること
ASDタイプ理解には大きく2つのアプローチ方法がある
2つのアプローチの使い方
詳しいASD(自閉スペクトラム症)についてはこちら。
ASDタイプ理解の2つのアプローチ|asd 特徴 子供と大人の視点から整理
ASD(自閉スペクトラム症)はその特性に応じて分類されることがあり、支援方針や理解の助けになります。
ここでは「従来型の4分類」と「近年研究に基づくサブタイプ分類」の2つの視点から解説します。
ASDの分類
①従来型の分類(主な活用場所日本の療育・教育現場)
- 対人関係や行動スタイルに注目した分類。
- 「孤立型」「受動型」「積極奇異型」「尊大型」に分けられます。
- 実際の支援現場で活用され、行動特性に応じた支援がしやすいのが特徴です。
出典:杉山登志郎『アスペルガー症候群のことがよくわかる本』(2008)
②近年の分類(主な活用場所医療的・診断)
- 海外研究に基づき、「言語能力」と「社会性の障害の重さ」を軸に4タイプに分類。
- より客観的な診断と個別支援に役立つ視点です。
出典:Inside Precision Medicine, 2023
①従来の分類(4種類)|asd 特徴 小学生や幼児にも見られる傾向

孤立型
特徴
- 他者との関わりを避ける
- 一人遊びを好む
- 独自の世界を大切にする
- 集中力が高く、一つのことに没頭しやすい
受動型
特徴
- 自分から関わらないが誘われれば従う
- 周囲に流されやすい
- 女児に多い傾向
- 柔軟性があり、トラブルが少ない
積極奇異型
特徴
- 自分から話しかけるが距離感が独特
- 興味のままに発言してしまう
- 積極性がある
尊大型
特徴
- 自分の価値観を他人に押し付けやすい
- 相手の感情への配慮が乏しい
- 知的能力が高く、自立性がある
②近年の分類(4つの異なるサブタイプ)|asd 症状と診断基準の変化にもとづく

タイプ1:言語能力が高く、社会的障害が軽度
特徴
- 会話力があり、知的な遅れはない
- 空気を読むのが苦手で、内面的なストレスを抱えやすい
タイプ2:言語能力が高く、社会的障害が重度
特徴
- 一方的に話しやすく、相手への配慮が欠ける
- 興味のある話題に集中する傾向
タイプ3:言語能力が低く、社会的障害が軽度
特徴
- 表現に時間がかかる
- 落ち着いた環境で安定する
タイプ4:言語能力が低く、社会的障害が重度
特徴
- 発語が少なく、日常生活で手厚いサポートが必要
- 感覚過敏やパニックへの配慮が重要
従来型とサブタイプ型、どう使い分ける?
Q. 従来型はまだ使われていますか?
A:療育・教育現場では今でも有効な分類として使われています。支援方法の目安として有用です。
Q. 近年の分類は誰向けですか?
A:医師や心理士など、専門的な診断や研究を行う際に使用される分類です。
Q. 子どもに合った分類はどう見極める?
A:療育や教育には従来型、診断や医療には近年型を使い分け、両方の視点から理解するとバランスの良い支援につながります。
比較表|ASD分類の違いを整理|asdとは 障害としての視点も
比較項目 | 従来の4タイプ | 近年の4つのサブタイプ |
分類の軸 | 対人行動や関わり方 | 言語能力と社会性障害の程度 |
活用場面 | 療育・教育現場 | 医療・診断・研究分野 |
主な分類名 | 孤立型・受動型・積極奇異型・尊大型 | サブタイプ1~4(仮称) |
特徴 | 行動に即した支援計画に活用 | 客観的に評価しやすく個別支援に活用 |
まとめ|ASDタイプの理解は支援の第一歩|asdとは 子供の可能性を広げるために
ASDは年齢や性別によっても特性の現れ方が異なります。
行動傾向から支援の方向性を見出す「従来型分類」と診断と支援計画に活きる「医学的分類」の両方を理解することが、子どもたちの特性を正しく捉え、伸ばす鍵になります。
この記事がお子さんとご家族にとって一歩踏み出すきっかけになれば幸いです。
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