「発達障害の子どもの知能検査ってどんなもの?」
「田中ビネー知能検査って受けたほうがいいの?」
「子どもの発達が気になるけど、知能検査を受けるべき?」
お子さんの発達に不安を感じたとき、知能検査を検討する方は多いのではないでしょうか。
特に発達障害の特徴を持つ子どもの場合、得意なことと苦手なことを把握することが適切な支援につながります。
田中ビネー知能検査は知能指数(IQ)や各能力のバランスを詳しく分析し、子どもの発達の特徴を明確にするための検査です。
しかし「どんな内容なの?」「結果はどう活用するの?」と疑問を持つ方も多いはず。
本記事では田中ビネー知能検査の対象年齢、測定内容、評価基準について詳しく解説します。
*2024年現在の最新の田中ビネー知能検査は「田中ビネー知能検査VI」
お子さんに合った支援方法を見つけるための第一歩として、ぜひ最後までご覧ください。
この記事でわかること
- 田中ビネー知能検査の主な値段
- 各年齢の主な検査内容
- 田中ビネー知能検査でわかること
問題に要する時間
60分〜90分
被検査者の集中力や検査の進行状況に応じて所要時間が変わります。
値段
11000円〜(報告書を含めた実施費用)
5500円〜(検査のみの実施費用)
実施される機関によって値段の前後がありますが、概ね5500円〜20000円になります。
実施している機関によって上記の金額に相談料も追加されるため、値段が変わってきます。
参考サイト
ことばの相談室ことり
対象年齢
2歳〜成人
年齢に応じて出題内容が異なるため、幅広い年齢に対応しています。

年齢に合わせた出題内容で今の得意・不得意が把握できるのは本当に安心だね。
問題内容
「言語能力」「数量・記憶能力」「推理・論理的思考能力」「判断力」「空間認知・構成力」の領域ごとに知能指数の評価と個別領域の評価する。
各領域の主な検査内容
・言葉の理解力、語彙力、文章を完成させる力などを測定する。
例:文章を読解する。単語の意味を説明する。
・数字やパターンを記憶し、それを再現する能力を測定する。
例:数列を記憶する問題や絵を見せて後で内容を答える問題。
・規則性を見つけたり、因果関係を推測する能力を測定する。
例:数列や図形の法則を発見する問題。
・日常的な場面での正しい判断ができるかどうかを測定する。
例:「横断歩道を渡る時に気を付けることはなんですか?」
・図形を完成させたり、パズルを組み立てる能力を測定する。
例:積み木で指定の形を作る。
確年齢の主な検査内容
2歳〜5歳(未就学児)
言語理解
・簡単な単語の理解・会話
基本的な記憶力
・見せたものを覚えているか
簡単な推理力
・簡単なパズルやブロックの操作
6歳〜9歳(小学校低学年)
語彙力・文章の理解
・簡単な文章を読んで意味の理解
数的処理能力
・簡単な計算や数量の概念
図形認知・空間把握
・パズルや積み木を使った問題
10歳〜15歳(小学校高学年〜中学生)
高度な言語能力
・物事を読んで要約する
推理的思考力
・数列の法則を見つける、因果関係を推測する
記憶力のテスト
・複雑な数列や文章を覚えて再現する
16歳以上(高校生〜成人)
抽象的な思考力
・抽象的な概念の理解
論理的推論
・問題解決能力、状況判断
計算力・数学的推理
・数列や図形の法則

年齢が高くなるにつれて、求められる判断力や理解力が高度になっていくんだね。
年齢ごとの測定内容
幼児
直感的な理解・視覚的認知・単純な記憶力を測定している。
学齢期
語彙力や数的推理、論理的思考力を重点的に測定している。
成人
抽象的思考、問題解決能力、判断力を測定している。
年齢に応じて想定内容が異なってきます。
田中ビネー知能検査でわかること
田中ビネー知能検査は知能指数(IQ)だけでなく、個々の認知能力の強み・弱みを詳しく分析(各領域の評価)できる知能検査です。
この検査を受けることで、以下のようなことがわかります。
知能指数(IQ)
田中ビネー知能検査では、知能指数(IQ)を算出し、発達の度合いや学習能力の指標として活用することができます。
知能指数 | 評価内容 |
---|---|
130以上 | 非常に優れている |
120~129 | 優れている |
110~119 | 平均の上 |
90~109 | 平均 |
80~89 | 平均の下 |
70~79 | 境界線 |
69以下 | 知的障害(発達の遅れ) |
IQが高いほど一般的な学習能力が優れている可能性があり、低い場合は発達の遅れが示唆されることがあります。
各領域の評価
「言語能力」「数量・記憶能力」「推理・論理的思考能力」「判断力」「空間認知・構成力」の各領域での得点を分析し、強みと弱みを特定していきます。
例:「言語能力は高いが記憶能力が低い」といった結果が出ることがある。
各領域の測定内容
語彙の理解
・子どもが日常で使用する単語や、年齢に応じた難易度の単語について意味を質問します。
例:「〇〇という単語の意味を説明してください」
文章の理解
・検査官が短い物語や文を読み上げ、その後内容に基づいた質問をする。
例:「アリとキリギリス」を読み上げ、話の内容に関係した質問をする。
数の記憶
・検査官が湯おみあげた数字列を記憶し、再現する。
例:「1,5,3,44,6,3,8,」今言った数字を順番に教えてください。
文章や絵の記憶
・絵や文章を提示し、一定時間後に覚えた内容を質問をする。
数の理解や計算
・簡単な足し算や引き算、数の大小比較などを行います。
例:「5個のりんごがあります。2個食べたらいくつ残りますか?」
数列の推測
・途中空欄がある数列の問題を解く。
例:「1,2,3,4,⬜︎,⬜︎,7,8,⬜︎,10」空欄に入る数字を書いてください。
図形やパズル
・絵や形をみてそれを再現したり組み合わせたりする。
例:「見本と同じ形を作ってください」
図形の完成
・不完全な図形をみてかけた部分を保管する課題を行う。
例:「この図形を完成させてください」
日常的な問題の解決
・日常生活に関連するシチュエーションで適切な行動を考える。
例:「おうちに帰っている時に雨が降りました、どうしますか?」
因果関係の理解
・物事の理由や結果を説明する課題を行う。
例:「外に行く時はなぜ靴を履くのですか?」などの質問。
手先の操作や模倣
・手先を使う課題や模倣する能力を評価する。
例:ハートの形をここにあるブロックで作る
線描や模様の描写
・見たものを真似ることができるか確認します。
場面に応じた適切な行動
・他人の気持ちや状況に対する理解を問う問題。
例:「友達が泣いています。あなたはどうしますか?」などの質問
判定基準
検査の得点は標準化された方法で「偏差知能指数」として算出されます。IQスコアの範囲:平均値は100。標準偏差は15が一般的。
標準偏差15の具体例:IQスコアが85~115の人が全体の68%をしめているということ。
また、判定の構成要素に着目しており、IQ以外にも個々の課題の結果を評価することで子どもの得意分野不得意分野を明らかにしていきます。
まとめ
本記事では田中ビネー知能検査について詳しく解説しました。
検査の結果はお子さんの特性を理解し、適切な支援や学習方法を考えるための貴重な情報となります。
ただし、本来の目的は知能や発達の特性を正しく評価することにあり「検査対策を行い、高いスコアを取る」ことを目的とするものではありません。
正確な結果を得ることでお子さんに合った支援や環境を整えることが大切です。
この記事を通じて田中ビネー知能検査の意義を正しく理解し、お子さんの成長をサポートする一助となれば幸いです。
参考サイト
コメント