知的障害の障害区分は4つある。その特徴や知的障害について解説

療育支援

子どもの知的障害ってどういうものなの?

知的障害の子どもが通える場所ってどこ?

保育園・幼稚園・学校以外の関係機関は?

保護者の方の場合「あれ…発達が周りと比べてうちの子遅いかな」と自身で気がついたり「少し気になる様子があります」と保育園・幼稚園の先生から相談ごとがあって初めて「知的障害」にという言葉に触れることになるかと思います。

保育士さんや幼稚園の先生方の場合、自由遊び中や学習、行事の練習などで周りの子どもと違う行動を確認することで「あれ…」と気づくかもしれません。

私自身、保育士として働いている期間の中で何度かそういう気づきがあり、その後療育の世界に足を踏み入れました。

保育士資格を取得するときに知的障害について勉強したものの、いざ目の前になるとすぐに知識が出てきませんでした。

そこでこの記事では、初めて知的障害のことを学ぶ人も一度学んだことがある人もわかりやすいようにまとめて解説します。

この記事を読めば【子どもの知的障害の特徴】を理解することができます。

私が保育経験と療育経験で得た情報を凝縮しています。「子どもの知的障害のことをもっと知りたい」という人は最後まで呼んでください。

知的障害とは

知的障害とは、一般に同年齢の子供と比べて「認知や言語などにかかわる知的機能」の発達に遅れが認められ「他人との意思の交換、日常生活や社会生活、安全、仕事、余暇利用などについての適応能力」も不十分であり、特別な支援や配慮が必要な状態とされています。また、その状態は環境的・社会的条件で変わり得る可能性があると言われています。
文部科学省(3)知的障害から抜粋

上記の文章を要約すると知的障害の特徴は以下の4点になります。

①同年齢と比べて言語認知に関わる知的機能の発達の遅れが見られる

②日常生活や社会生活における適応能力が不十分

③上記2点において特別な支援や配慮が必要な状況にある

④状態は環境的要因や社会的条件でよくも悪くもなり得る

言い換えれば知的障害は本人の特徴として捉える必要があり、本人の特徴に適した支援と配慮をすることによって次第によくなっていくと言えます。

知的障害の特徴

知的障害の特徴は様々です。

顕著に知的障害の特徴が見られる子どももいれば、一目見ただけで知的障害であるとわかりにくいこどもがいます。

わかりにくい場合には周りに理解されず、いじめの対象となることがあるため注意が必要です。

知的障害について代表的な特徴とより具体的な特徴をまとめました。

知的障害の代表的な特徴

知的障害の代表的な得量は以下のとおりです。

・日常生活の自立が難しい

・発語が遅い

・言葉によるコミュニケーションが苦手

・学習の習得が難しい

・他者の気持ちを考えて行動することが苦手

知的障害の具体的な特徴

日常生活の自立が難しい

抽象的な言葉や文章を理解することが難しい

身だしなみを整えることや整理整頓が難しい

複雑な言葉を理解することが難しい

発語が遅い

同年齢と比べて大幅に発語が遅い

自分から話さない

3歳をすぎても単語の羅列や一語文など短い文の発語が多い

言葉によるコミュニケーションが苦手

相手が話している言葉を繰り返す(オウム返し)

自分の気持ちをうまく表現することができない

会話が一方的

学習の習得が難しい

年相応の学習技能を身につけることが難しい_

漢字や数の理解が難しい

他者の気持ちを考えて行動することが苦手

相手が期待していることの理解が難しい

コミュニケーションが苦手なため相手が思っていることを想像

相手の表情や言葉から感情を汲み取る力が十分でない

知的障害の診断テストの種類

知的障害の診断には適応能力検査、知能検査があります。

適応能力検査

知的障害の適応能力検査は日常生活や社会生活に必要なスキルを評価し、知的障害の程度を総合的に把握することを目的としています。

知能検査

知的障害の知能検査は認知能力を評価し、知的な遅れの有無や年齢に見合った発達が達成されているかを確認するために行われます。

知的障害の検査の種類

知的障害の検査には以下の検査が用いられます。

年齢に応じた発達段階と比べ、対象者である子どもがどの程度の発達があるのかが判断できる検査となっております。

①田中ビネー知能検査
②就学児版田中ビネー知能検査V
③新版K式発達検査
④ウェクスラー式知能検査
⑤年齢に応じて以下の3つの検査に分けられる。
・WPPSI(ウィプシー):対象年齢2歳~7歳
・WISC(ウィスク):対象年齢5歳0ヶ月~16歳11ヶ月
・WAIS(ワイス):対象年齢16歳0ヶ月~90歳11ヶ月

👇知能検査の詳細記事はこちら👇
知的障害の特徴を診断する知能検査の種類と判定基準のまとめ

知的障害の区分は4つに分けられる

①軽度知的障害

IQ:約50~70(概ね11歳前後のIQ)

特徴

❶学習能力は通常の年齢より遅れが見られるものの、基本的な学業や日常生活のスキルを学ぶことができる。

❷社会的スキルや対人関係でやや困難を抱えることがあるものの、適切な支援を受ければ自立が可能な場合が多い。

②中度知的障害

IQ:約35~49(概ね8歳前後のIQ)

特徴

❶読み書きや簡単な算数などの学習は可能なものの、学習速度が非常に遅い

日常生活の支援や監督が必要

簡単な仕事や活動には参加が可能だが、指導や支援が継続的に必要となる。

③重度知的障害

IQ:約20~34(概ね6歳前後のIQ)

特徴

❶基本的な自己管理スキルやコミュニケーションが難しいことが多い

日常生活全般での支援が必要

簡単な生活習慣を学ぶことができるものの、高度な学習や自立は困難。

④最重度知的障害

IQ:約20未満(概ね3歳前後のIQ)

特徴

深刻な認知や運動の障害を伴うことが多い。

❷ほとんどの場合、完全な介助が必要

自分の意志を表現することが難しい場合がある。

*個人によってスキルは異なってくるため、年齢の表記はあくまで目安として活用ください。

通える療育支援

日本では「障害者総合支援法」や「特別支援教育」に基づき、個人の特徴や支援の必要性に応じて支援が提供されます

支援は福祉サービス、教育支援、就労支援など多岐にわたります。支援の詳細は各地域の役所のホームページから確認することができます。

その中で代表的なものはこちら👇

児童発達支援

放課後等デイサービス

相談支援事業所


児童発達支援、放課後等デイサービス、相談支援事業所については下記に詳細をまとめました。

児童発達支援

小学校就学前の6歳まで利用できる通所型の支援施設です。

放課後等デイサービスも同時に運営している「多機能型」と呼ばれる施設が多く、児童発達支援で通所している場合にはそのままエスカレーター式で放課後等デイサービスに通所することができます。

中には児童発達支援のみの施設もあるため確認をとることで必要です。

施設によって送迎してくれるところがあります。「保育園送迎可」かどうかも施設によって変わってきますので確認が必要です。

👇児童発達支援施設の詳細はこちら👇
児童発達支援とはどう施設なのか。利用方法とメリットとデメリットを解説します

放課後等デイサービス

18歳まで通うことができる通所型の支援施設です。

児童発達支援と同時に運営している多機能型が多く、自分より下の学年との接しかたを学ぶ機会があります。

基本的に学校迎え自宅送迎。長期休みも開所しており、長期休み中は朝から16時までの預かりになる施設が多いです。

👇放課後等デイサービスの詳細はこちら👇
放課後等デイサービスとは何か。メリットとデメリットと利用方法について。

相談支援事業所

相談支援専門員という専門家が在籍しており、保護者の希望を聞き取りながら支援計画を作成します。

各施設を連携をとっているため、保護者さんとの聞き取りの中で希望にそった支援をしている施設を提案してくれます。

また児童発達支援や放課後等デイサービスの事業所に相談しにくい内容を相談することができ、児童発達支援や放課後等デイサービを通所する際に必要な「受給者証(障害福祉サービス受給者証)」を保護者さんの代わりに申請することが可能です。

知的障害の子どもが取得できる療育者手帳

療育手帳とは、知的障害がある人を支援するために日本の地方自治体が発行する手帳のことです。

この手帳を持つことで様々な福祉サービスや支援を受けることができます。

申請方法は役所の障害福祉課や子ども相談課(役所によって名称が異なる)に問い合わせるか近くの相談支援事業所に相談をして申請することができます。

知的障害の子どもが取得できる受給者証

受給者証とは正式名称「障害児通所受給者証」で保育所等訪問支援、児童発達支援、放課後等デイサービスなどのサービスをする際に必要です。

申請方法は役所の障害福祉課や子ども相談課(役所によって名称が異なる)に問い合わせるか近くの相談支援事業所に相談をして申請することができます。

👇受給者証の詳細はこちら👇
受給者証とは?申請の方法と記載内容について解説。

まとめ

以上が子供の知的障害についてのまとめとなります。


保育園・幼稚園の先生方はいろんな園児を見ているため、「十人十色」という言葉がしっくりくるかもしれません。
そのため日々の生活の中で「違い」について発見しやすいです。

ですが保護者さんはどうでしょうか。
何もかも初めての子育てで、1、2、3歳…とその子のその年齢は一度しかありません。

その中で違いを見つけ、適切な療育をすることは簡単なことではない。

でも安心してください。児童発達支援員、放課後等デイサービスの職員、相談支援事業所の相談員と周りには沢山のプロフェッショナルがいます。

わからないことがあればその人たちに聞き、生の声を聞くことができますし、この記事にいつでも戻ってくることは可能です。

この記事があなたの何かの役に立てたら幸いです。
この記事が困っている人の力になれる記事となっていれば幸いです。

やす

大学で保育士免許を取得した後、保育士経験の中で発達障がいがある子どもと接したことで療育支援に携わることを決意する。 現在はSST(ソーシャルスキルトレーニング)を支援内容とした放課後等デイサービス、児童発達支援にて日々子ども達の療育支援に携わっている。 30代 / 男性 / 療育支援歴10年以上 / 猫好き

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